「お世話になった人への恩返しの旅に行ってきます」。8月10日、少し前髪を切った浜田真由(ミキハウス)が、古賀剛コーチとともに、羽田空港を飛び立った。決戦の地、リオへは、パリのシャルル・ドゴール空港での乗り継ぎも含めて丸1日半の長旅。リオには現地時間の午前5時40分に到着予定で、浜田と古賀コーチはテコンドー会場と同じ、リオのバーラ地区にある選手村に入る。
5日のリオデジャネイロ五輪の開会式。マラカナン競技場で206の国と地域の入場行進や、サンバやボサノバのダンスの演舞が3時間以上にわたって行われたが、佐賀の実家にいた浜田は、テレビで「1分くらい」しか見ていない。その日はいつも通り、古賀道場で黙々と練習した。「あまり、リオの情報を、気にしないようにしている」とも語っていた。
試合は8月18日。あまり早くから、ぴりぴりしたり、気持ちを高ぶらせても、疲れてしまう。4年前にロンドン五輪に出た経験もいかして、いかに心と体のピークをその日に持っていくか、浜田は日々、考えながら過ごしてきた。
古賀コーチによると、仕上がりは極めて順調のようだ。東京での最後の調整は、昨年末から定期的に通うケビン山崎氏のトレーニングジム「トータルワークアウト」で。
ジムのマシンで体に負荷をかけ、坂道を利用して、体の中心を意識しながらおこなうサーキットトレーニングで動きを確認。古賀コーチは「日に日にキレが増してきている。予想以上の仕上がりでリオに向かえる」と話していた。(リオデジャネイロ=朝日新聞スポーツ部記者・原田亜紀夫)