テコンドーの代表格「キョルギ」
2015 WTF 世界選手権で優勝を決める濱田真由選手 (右)
テコンドーの代表的なスパーリング種目 キョルギ (漢字表記:競技、英語表記:Gyeorugi) は、空手とキックボクシングをミックスしたようなスポーツ性の高いフルコンタクト制の格闘技で、特に足技 (あしわざ) を重視します。オリンピックでは男女とも体重別の4階級に分かれており、試合時間内に獲得したポイント数によって勝敗を決めます。
試合では道着の上に、危険防止のため胴プロテクターやヘッドギアなどのプロテクターを装着します。相手プロテクターへの攻撃がクリーンヒットすることでポイントとなります。
試合時間と勝敗

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試合時間は、2分×3ラウンド・インターバル1分です (公式ルール)。
試合の勝敗は、技の種類により決められたポイントを多く獲得した選手が勝利するポイント制です。反則によりペナルティ (相手選手への加点) が与えられることもあります。また、攻撃し倒れた相手が10カウント以内にファイティングポーズを取れない場合 (KO) や、相手のセコンドが試合を中止させた (TKO) 場合も勝利となります。
3ラウンド終了時点で同点の場合は、ゴールデンラウンドに進みます。時間内に2点でも先取した選手が勝ちとなります。ゴールデンラウンド終了時にもポイントが入らない場合は、主審のジャッジにより勝敗が決まります。
勝利の種類
上記のものを含み、次のような勝ち方があります。詳細は勝敗の種類をご覧ください。
- 3ラウンド終了時の得点差 (PTF)
- 第2ラウンド終了時点または第3ラウンド中で20点以上の差が開いた (PTG)
- ゴールデンラウンドでの2点以上の先取 (GDP)
- ゴールデンラウンド終了後も同点の場合の優勢判定 (SUP)
- 反則が累積10点となり相手選手が失格 (PUN)
- 相手選手棄権による不戦勝 (WDR)
ポイントになる攻撃
攻撃は、胴体および頭部に装着する胴プロテクターおよびヘッドギアに対してのみ可能で、それ以外 (体の後面・下段) への攻撃は厳しく禁止されています。攻撃は胴体へはパンチと蹴りの両方、頭部は蹴りのみが可能です。
オリンピックなどの国際大会や国内の主要大会では、電子胴プロテクター (PSS) および電子ヘッドギアを使用します。技術の有効性・打撃の強さ・打撃部位の適正は、電子プロテクターによって判定されます。
電子防具で技の難易度が判別できないケースでは、副審が判定機で技の難易度毎の加点を行います。
胴プロテクターへの突き(パンチ)での有効な攻撃 | 1点 |
---|---|
胴プロテクターへの有効な蹴り技 | 2点 |
胴プロテクターへの有効な回転蹴り | 4点 |
頭部得点部位への有効な蹴り技 | 3点 |
頭部得点部位への有効な回転蹴り | 5点 |
相手選手が1回の減点宣言を受けることで得られるポイント | 1点 |
WT ではビデオリプレー判定を推進しており、今後の国内大会でも採用を進めています。
電子防具を使用しない試合でのポイント判定
ポイントの判定は、2名~3名の各副審が判定機の赤色または青色のボタンを押し、2名以上が同時に同じ色のボタンを押すことで認められポイントになります。副審は攻撃が入った方の選手カラー (赤または青) のボタンを押します。
反則
禁止行為に対するペナルティは、主審が宣言します。ペナルティはカムチョン (減点)とコールされます。カムチョン (減点) は相手の加点1となります。
選手が10回のカムチョン (減点) を試合中に受けた時点で、主審はその選手を敗者として宣言します。カムチョン (減点) は3ラウンドの総得点に随時加算されます。
カムチョン(減点)
カムチョン (減点) | 相手の加点1 |
---|---|
カムチョン10回 | 失格 (PUN) |
相手をつかんで投げる、 または突き飛ばす |
止め (カルリョ) がかかってからの 攻撃や倒れた相手への攻撃 |
手により相手の顔面を故意に 攻撃する (ダメージが大きい場合) |
選手又はコーチによる不品行な 言動や競技の進行を妨害した場合 |
主審が注意して従わなかった場合、負けを宣告できる |
競技ユニフォームと防具
選手は WT 公認の道着を着用し、識別の為一方が赤また一方が青の電子防具、電子ヘッドギアを着用します。その他に着用するものとして、センシングソックス (電子防具使用時)、ハンドグローブ、マウスピース (白または透明) と道着の下に着用するファールカップ (股間)、アームガード (前腕)、シンガード (脛) があります。
電子胴プロテクター |
電子ヘッドギア |
ハンドグローブ |
シンガード(脛) | アームガード | マウスピース |
競技コート
試合は競技コートの上で行います。競技コートは競技エリアと安全エリアで構成されています。競技エリアと安全エリアを含む競技コートは、11.2 m ✕ 11.2 m の範囲で正方形に設置します。競技エリアは、向かい合う面 (対極線) との直径が 8 m であり、八角形の各辺の長さは約 3.3 m です。
競技エリアの境界線から競技コートの限界線 (外側) の間は安全エリアです。競技エリアと安全エリアのマットは異なる色で設置する必要があり、その色の決定は大会競技規程に従います。
競技コートの縁の線を境界線とし、選手の両足が境界線を超え越えるとカムチョン (減点) が宣告されます。